エカテリンブルクのトラムヴァーイ(路面電車)の運転手、イワン・ソロミンさんの記事を紹介します。
彼はただの運転手なのですが、Twitterを始めたところ、フォロワーが5000人になり、ロシアで最も有名なトラムバーイの運転手となりました。
以前紹介した新型トラムヴァーイの記事でも彼の話が出てきていました。
関連記事:ロシアの新しいトラムヴァーイ(路面電車)が近未来的デザインでかっこいい!!
「エカテリンブルクの有名なトラムヴァーイの運転手はここに住み込みたいと言っていた。」
以下翻訳です。
トラムヴァーイの運転手
Водитель трамвая
イワン・ソロミンは先ずエカテリンブルク、そして、そこからロシア全土でТрамвай EkbというTwitterアカウントで有名になった。
今、彼のフォロワーは5000人もいる。地方のトラムヴァーイの運転手としては悪くない数字だ。
イワンは現在27歳。トラムバーイの運転手として4年間働いている。
-あなたはヒップスター(※訳者注:個性的で奇抜な格好をする人)と呼ばれたりする?
-いや、どっちかというとタジク人と呼ばれているね。
-それはなぜ?
-髭があって髪の毛が黒いから。
続いてイワンの話
トラムヴァーイは昔から都会のシンボルであった。
トラムヴァーイが通っているというのは、街が生きているってことで、つまりここは街であるという証拠。
都会の外にはトラムヴァーイが存在していない。
なぜ僕はトラムヴァーイを運転しているか。先ず、面白いから。それに、人の役に立っている。
僕の仕事は金儲けにも出世にもならない。
専門知識がないとまったく将来性のない仕事である。
専門知識があれば、とても遅いけど出世は出来ます。
まずは車庫へ、そのあとトラムヴァーイ事務所に進むが、この道は長いし、あまり「きれい」ではない。
なぜかというとコネがないと無理なのだ。僕にはそういう人がいない。むしろクビになりそうなときもある。
給料は3万ルーブル(約9万円)くらい。シフトがひどい。週6日働いている。
ある日、エカテリンブルクの道路のTwitterアカウントができた。2~3年前の話で、その時はあまり道路のことを誰も気にしていなかった。
一般人で気にする人がいなかった。で、そのアカウントができたとき、状態がひどいって書いてあった。
僕はそれについてのニュースを見て、自分でもやってみようと思った。
Twitterのアカウントを作って、
「エカテリンブルク、こんにちは。あなた達にはトラムヴァーイがある。」
と書いて、寝た。
起きたら、大きなマスメディアの誰かがそれをリツイートしたみたいで、一晩で100人がフォローしていた。質問もたくさんされた。
人々は本当にトラムヴァーイに対して興味を持っていると分かった。
トラムヴァーイという大きな金属製のものがあるってだれでも知っているが、具体的にどういうものなのか、どう動くのか、どういう特徴があるかだれも知らない。
半年後くらいにこのアカウントを僕がやっていると上司にバレた。
バレたら問題があるかもって分かっていたから名前を出していなかった。
でもある日、新聞にインタビューされた。その時免許の写真も載せて、個人情報を隠さず見せた。
初めて上司のオフィスに呼ばれたのはまた少しあとのことであった。
上司は、僕がマスコミと連絡とりすぎだと嫌に思ったみたい。
うちの事務所はコメントをしないというやり方である。副長だけがコメントをする権利があるが、彼は普段なにも言わない。
しかし、エカテリンブルクには街の生活について書く新聞が多い。グローバルな出来事ではなく、一日に起きていること、すぐコメントがほしいようなことを取り上げている。
そういう時、事務所に連絡してコメントをもらおうとするが、もらえない。それで僕に連絡するようになった。かれこれ毎日1~2回くらいは電話が来る。
うちの事務所には広報がない。僕の友達がみんな言っている、「広報を作りなさい」と。
ロシアと外国の多くの交通事務所が広報を持っている。乗客と直接連絡を取りたいから。
でもうちの事務所は国のもので残念ながらそういうのをしたくない。
コメントをしないような副長で十分みたい。
時々道を歩いていると挨拶される。知らない人だが、「Twitterで話したよ」と。
一回女性にケーキをもらった。
「息子はあなたのTwitterを読んでいる。あなたのしていること、息子はとても好きなんです。ケーキをどうぞ。」
と言われた。その時とてもお腹が空いていて断れなかった。
食堂
お昼
値段に注目
※1р(1ルーブル)=約3円
仕事で一番難しいのは道の状況。毎日7~9時間道を走っていて、人々の公共交通機関への態度を見ている。その重要性を人が分かっていない。
僕は、公衆交通機関を尊敬してほしいと思う。トラムヴァーイだけではなく、全て。
一番むかつくのは、路線を走る車。特に禁止である場所で。
150人の乗っているトラムヴァーイの邪魔を一人だけがしている。
事故も毎日ある。大体車との。悪いのは大体車。
事故がこっちのせいだったら、罰金取られる。3万ルーブル(約9万円)の給料だったら1万4~7千(約42000~21000円)は取られる。
もしくは車庫で車両を動かす仕事に移動されたり、または切符を売る人にされたり。罰する方法がいろいろある。
ボーナスは幾つかに分けてある。主なボーナスとStimulボーナス(訳者注:やる気を出させるためのボーナス)の分である(7~10%)。
一ヶ月間事故がなかったらそれをもらえる。事故があったら削られる。
しかも悪くなくても削られる。
もし、僕がトラムヴァーイの外にいて、トラムヴァーイに車がぶつかってきても削られる。
車の運転手にとってもかなりの負担になる。
車両が壊れたら、車の運転手が修理代を出さなきゃ。
まあ、そうたくさんではないが。大きく壊れても200ドルを超えない。
事故があって壊れていなかったら話し合いで済まそうとしている。
また、ダイヤが止まったときのお金も車の運転手が出す。
車両が何本止まったか、ラッシュアワーかどうか、それによって金額が決まる。
30分~1時間で1~3万ルーブル(約3万~9万円)くらい。
トラムヴァーイにぶつかるのは高い。経済的にとても不利益。
酔っている乗客もときどきいる。
渋滞にハマったらそういう人は「降りたい」って言ってくる。
公共交通機関はタクシーじゃないって説明しなければいけなくて、なかなか分かってくれない時もある。
夜に人があまりいないとき、「運転させてくれ。誰も見ていないからいいだろ!」って言ってくる人がいる。
これは厳しく禁止されている。
以前、運転手が友達に運転をさせて、車にぶつかったことがあった。
そういう場合はクビになることもある。
うちの事務所は車庫が3つあって通常通りに走っているが、40~60人の運転手が不足している。
全部で運転手は260~270人くらいいるから、5分の1がたりないわけだ。
今いる人たちが残業したり、休みに働いたりして穴を埋めている。
トラムヴァーイの運転手になるまえによく考えなければいけない。
この仕事が本当に楽しくて好きな人じゃないと出来ない。数ヶ月経ったら飽きてしまうから。
ある日僕はTwitterのせいでクビになるにちがいない。
その日がくるのを覚悟しているので怖くない。仕方ない。
まあ、この仕事が好きだからとても落ち込むとは思うけど
トラムヴァーイを大切にしましょう!
Bogatyr
Twitterでいつにつぶやくわけ?運転中?
EronDonDon
記事ありがとう。エカテリンブルクに住んでいるのに知らなかった。
数日前彼のトラムヴァーイに乗ってたよ。
bari72
頑張って!
無事故で働いてね。
そして優しい言葉をたくさんもらうように!
sherbet
マスコミと話していてTwitterがあって何が問題?
なんの秘密を漏らすの?
なんで首になるわけ?
marked
>sherbet
トラムヴァーイの運転手はマズイことをなんでも知っているんだよ。
PohuyNahuy
>sherbet
ただ事務所の人が年取っているおっさんで仕事に注目されたくない。
隠すことあってもなくてもどうでもいい。
でももう少し時間経てば進歩を恐れない若い人が代わりに来るから大丈夫。
Serrega
上司は、エカテリンブルクでは未だ70年代のトラムヴァーイが走っていること、
路線がぼろぼろになっていること、
運賃が非常に高いこと等を喋ってしまうのではないかと心配しているんだろう。
ingoshit
色々な職業が必要だよね。
Amanita
前も読んだことある。
2つの村の間を走っているトラムヴァーイ。
そのトラムヴァーイの運転手ならやってみたい。
Sp0rtiven
トラムヴァーイの運転手になりたかった。簡単に運転できるから。
yodaswk
一番の伝わったことは、「人の役に立つ」
この人、やるね!
僕もキーボードを打つような仕事から、ちゃんとした男の仕事に移ることを願っている。
v72
>
事故がこっちのせいだったら、罰金取られる。
>3万ルーブル(約9万円)の給料だったら1万4~7千(約42000~21000円)は取られる。
すごい。ひどい罰金だ。
JaneS
この記事のあと、きっとクビになるに違いない。
wrivolsk
ありがとう!
これ思い出した。
すみません、駅までどう行けばいいですか?
Vailed
彼はタジク人よりギリシャ人に似ている
🙂
Водитель трамвая
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