「ピオネールボール」「ヴィシバールィ」というスポーツ、球技を聞いたことがあるだろうか?おそらくみんな知らないはず。
ロシア人はほとんどの人が知っているのに私の周りのロシア通の日本人でさえ知らないのだ。ロシアに長年住み、ロシア人の生活に溶け込んでいた日本人ですら知らない。1人、「ロシア人が話してるのは聞いたことがあるけどそれがどのようなものなのかはわからない。」と言っていた日本人はいました。
ちなみに本当にほとんどのロシア人が知っているのかちょっとアンケートを作って回答してもらいました。もしかして私の周りのロシア人だけが知っている可能性があると思ったからです。
すると、短時間で125人ものロシア人が回答してくれました。ロシア全土、ロシア以外にもウクライナから数名。そして年代は10~60代と幅広く、もちろん男女の回答が続々と集まりました。
結果は上のグラフを見て分かる通りほぼすべてのロシア人が知っていることになります。しかし、日本では上記のように全く知られていない。ネットで検索しても「ヴィシバールィ」は全くヒットせず、「ピオネールボール」はおそロシ庵で昔簡単に紹介した記事が少しだけ出て来るのみ。(ソ連ナイトで紹介して以降は何件か引っかかるようになった)
こんなロシア人の一般常識的なことをロシアが好きな、ロシアに関わっている日本人が誰も知らないなんて面白い!と思いソ連ナイトで紹介したのですが、やはりもっとたくさんの人に知ってもらわねば!と思いここにまとめることにします。
ちなみにソ連ナイトに集まったお客さんはそんじゃそこらの日本人より濃いソ連&ロシア好きが多いので知ってる人がいると思ったのですが居ませんでした。
Пионербол ピオネールボール
ピオネールボールとは名前の通りピオネールが大きく関係している。ピオネールとはソ連版のボーイスカウトのようなもの。詳しくはWikiを見て下さい。
1930年代、ピオネールが夏にキャンプに行くようになりそこで作られたのがピオネールボール。バレーボールに非常に似ているがいくつかの違いがある。バレーボールとの一番大きな違いはボールを弾かず、必ず一度キャッチすること。
ピオネールないだけではなく学校の体育の授業でも行われるようになった。現在でも学校で行われており、ほぼすべてのロシア人がピオネールボールを知っているのはこのためである。学校の体育の授業で行われるのはバレーボールよりもかんたんなのでバレーボールをやるための準備という意味もあった。バスケットボールをする前のポートボールの授業のようなものだと思う。
授業以外でも遊びとして子どもたちが行うこともあり、その場合はきちんとしたコートを使わない場合が多かった。そしてローカルルールも存在した。その場所その場所によって若干ルールが違う場合もあった。
ピオネールボールを楽しむソ連っ子
ピオネールボールの基本ルール
- 各チームの人数は5~10人。6人制がベスト
- バレーボール、バスケットボール、どちらのボールも使用可能
- エンドラインから相手コートにボールを投げ入れスタート(サーブ)
- 女子はエンドラインの2m手前からサーブすることができる
- ボールが自コートに飛んできたらキャッチする
- キャッチしたボールは相手コートに投げ入れる
- 1点とったらポジションを時計回りでローテーション
- 25点先取の2セット
- 引き分けの場合は延長され3セット目が行われる
- 3セット目は15点先取
アウトになる場合(相手チームに1点加算)
- ボールが自陣コートに落ちたとき
- ボールが自チームの誰かに当たりコート内外問わずに落ちた場合
- ボールが相手に触れずコート外に落ちた時
- ボールを持ったまま3歩以上歩いた場合
- ボールを2秒以上持った場合
- チーム内でパスを2回以上行った場合(パスは1回まで)
- ネットに触れた時
- ボールがネットの下をくぐった時
- ボールが下半身に触れた時
文章だけではわかりづらいと思うので実際にプレイしてる映像を紹介します。
Вышибалы ヴィシバールィ
ヴィシバールィとは簡単に言うとソ連版ドッヂボール。Wikipediaのドッヂボールの項目のロシア語ページを開くとヴィシバールィと書かれているが、ドッヂボールとはルールが異なる。これもピオネールボールと同じく学校で行われていた。
ヴィシバールィの基本ルール
- 「当てる人」と「当てられる人」に別れる
- 「当てる人」はコートの両サイド外で向かい合う
- コートの幅は10~15m
- コートの中の人(当てられる人)はボールを避ける
- コートの外の人(当てる人)はボールを全員に当てる
絵にするとこんな感じ
- ボールが当たった人はコートの外へ
- ゲームが終わるまでコート内へは戻れない
- 「当てられる人」が最後の一人になったら、「当てる人」は最後の一人の年の数だけボールを投げる
- 全てのボールを避けることができたら「当てられる人」の勝ち
- ゲームはリセットされる(「当てる人」「当てられる人」の変更はなし)
- 最後の一人も当てることができたら「当てる人」の勝ち
- 一番最初に当てられた人が今度は「当てる人」になる
ドッヂボールとの違いはチームに別れるのではなく、「当てる側」、「当てられる側」に別れるということ。そして、ドッヂボールとは違い投げ合うことはないので積極的にキャッチにはいかず、基本はボールを避けて逃げ回る。
そして、ヴィシバールィには特別ルールが存在する。
ヴィシバールィの特別ルール
- Свечка(スヴェーチカ):ロウソク
飛んできたボールをノーバウンドでキャッチすることができたらライフが1つ増える。このライフは他人に譲渡することも可能。 - Картошка(カルトーシュカ):ジャガイモ
「当てる人」が「カルトーシュカ!」と叫びボールを転がす。
「当てられる人」たちは1列に並び、股の間にボールを通す。間に合わなかった人はアウト。 - Бомба(ボンバ):爆弾
「当てる人」が「ボンバ!」と叫びボールを上へ高く投げる。
「当てられる人」はその場でしゃがみ動いてはダメ。運悪くボールが当たってしまったらアウト。 - Салют(サリュート):花火
「当てる人」が「サリュート !」と叫びボールを上へ高く投げる。
ボンバと違うのは「当てられる人」はしゃがまずその場で手を上げて、「ウラーーーー!(万歳!)」と叫ぶ。
もちろん落ちてきたボールに当たったらアウト。 - Солдатики (ソルダチキ):兵隊
「当てる人」が「ソルダチキ !」と叫びボールを転がす。
「当てられる人は」その場で気をつけの姿勢のまま動いてはダメ。転がってきたボールに触れたらアウト。
これも説明文だけではわかりづらいと思うので動画を紹介します。
カルトーシュカやボンバなど、全てこの動画にわかりやすくまとめてあるので必見です。
以上、ピオネールボールとヴィシヴァールィについての説明でした。
いつか人を集めてこの2つの大会を開きたいです。そしてFIFAのような協会を作ってEAにゲーム化権を売って…
まずは東京オリンピックの公式競技化を…
最後に、今回ロシア人たちにアンケートを取った際に自由に思い出などを書いてもらったのでいくつか紹介して終わります。
両方とも大好きだった!とてもエキサイティングしたのを覚えています
30代 女性 モスクワ
ヴィシバールィもピオネールボールも両方とも毎日のようにやりました!
学校の授業はもちろん、放課後の校庭や体育館でも。
暗くなってボールが見えなくなるまでやっていました。
30代 女性 キスロヴォツク
両方共体育の授業でやりました。
ある日、ピオネールボールの授業で同級生が強いボールを投げたのが私の指にあたって脱臼してしまい…
次の日のピアノコンクールに出ることができませんでした。
それ以来球技は嫌いです!
20代 女性 カルーガ
マトリックスのように壮絶な戦いだった!ウォークラフトやるよりも100%楽しい!
20代 男性 モスクワ
夏のピオネールキャンプで、そして学校でもやりました。
ヴィシバールィは校庭で一番人気だった。
50代 男性 モスクワ
とにかく両方とも好きだったのは覚えている。
特にピオネールボールが好きだった!
30代 女性 ノボシビルスク
学校での体育や夏の夜、中庭や広場でやりました。
ピオネールボールはバレーボールにシフトしていきましたが。
50代 男性 モスクワ
ピオネールボールもヴィシバールィも楽しかった!
30代 男性 モスクワ
両方共体育でやりました。特にピオネールボールは同級生の間で人気で放課後もやりました。
20代 女性 キーロフ
ピオネールボールは単純化されたバレーボールです。
基本的にはバレーボールですが、キャッチすることで時間を使うことができるので子どもたちにとって優しいです。
20代 男性 チェボクサル
ヴィシバールィは楽しかったけどピオネールボールは嫌いだった。
10代 女性 マガダン