モスクワのお土産市場の陶器屋さんで買えるロシア&周辺国のすてきな陶器いろいろ

今回の「寒いモスクワツアー」でイズマイロヴォのヴェルニサージュ、お土産市場に来た。そこで陶器の店を見つけた。お土産市場にはモスクワに帰るたびに行くのだが、この陶器屋さんに入ったのは初めてだ。
 
文章:Murasakitonbo

 
狭い店内が食器だらけ。モスクワ、ポーランド、ウクライナ、ウズベキスタン、ベラルーシのものらしい。
 
入ってすぐ右にあったのはポーランドの陶器。正直あまり興味がわかずに終わった。
 
 
 
その向こう側はウクライナの食器とロシアの地方で作っているマグネット。
 
このマグネットは発掘調査で発掘されたタイルを真似して作られているらしい。こういうタイルはロシア語でизразец(イズラジェツ)といってペチカ(暖炉)などにくっつけるもの。
 
 
 
タイルをまねたのは表だけではなく裏も。本物そっくりだ。
 
 
タイルもマグネットも同じ模様を大量に作らなければいけないので、まずは型を作ってそれで押していくらしい。このタイルはお土産にとてもいいと思う。
 
ここで少しだけイズラジェツの豆知識。
 
イズラジェツはモスクワの北西に位置する街、セルギエフ・パサードとモスクワ市内にある地区、カロメンスコエのコレクションが一番大きくて有名。
ロシアのイズラジェツは16世紀からの長い歴史を誇るものでロシアのあちこちで発掘されている。カザン、ヤロスラブリ、シベリアなどから発掘されることが多い。
18世紀のイズラジェツは人間の口元から言葉が出ているように描かれいるので「ロシアではじめてのマンガ」と言ってもいいかもしれない。
セルギエフ・パサードの最も古いイズラジェツはペチカではなく教会の壁についているものだ。
専門家はイズラジェツを見るだけでその持ち主の家の様子、どのようなペチカにつけてあったのか、持ち主の生活レベル、持ち主の好みなどが分かるという。
 
そして最近イズラジェツが再び注目をあびるようになり流行り始めた。特にロシアの北方地方で流行っている。ペチカが日常的に使われている地域のイズラジェツ工房はとても忙しいそうだ。
イズラジェツのペチカは高価だが、デザインの他にも煙をペチカの外へ漏らさないため部屋の空気環境にいいなどメリットはたくさんある。
 
 
 
そのイズラジェツ下あたりにベラルーシの陶器があった。ベラルーシの旧教徒が作ったものだとのこと。本焼きの前に牛乳につけておくらしいが、それがなんのためなのかは忘れてしまった。丈夫さのためなのか、はたまたこの色を出すのに必要な作業だったか…。
写真に写っている水差しのような牛乳容器みたいなものはあまり実用的ではないかもしれないが、マグカップなどもあって、そのクールな感じが好き。
 
 
一番多かったのは、ウズベキスタンの食器。例えばこんな感じのもの。
 
 
一回色を付けて乾いた後に針で模様を刻していき、上にさらに釉薬を付けてまた焼く。繊細で美しいし、色も落ち着いていてきれい。
 
 
 
そして店の半分くらいを占めていたのはこういう食器。
 
 
さて、ここでクイズ。下の二枚の写真、一見同じようなものだが実は違う。その違い、お気づきでしょうか。
 
1
 
2
 
 
 
両方ともウズベク人が作ったものだが、1のはモスクワにいるウズベク人。2はウズベキスタンにいるロシア人に作られた…。というのは冗談で、2はウズベキスタンでウズベク人に作られた。
同じウズベク人の作品なのに作り方が違うらしく、前者は非常に丈夫で、後者は非常にもろい。伝統的な作り方は色を付ける前にチョークにつけるやりかたで、色が陶器へ直接つかないためわずかな刺激ではがれてしまうらしい。
一方、モスクワで作っているものは見た目がほぼ一緒でも作り方がかなり異なるらしく、丈夫だが上品さに欠けている。
店の食器は金属製の棚に並べてあったのだが、「これ、すごく丈夫だからね」と、店員さんが茶碗を手にとりゴンゴンゴンと棚に叩きつけた。茶碗は確かに平気だった。コンクリートの床に落としてしまっても割れないらしい。
 
陶器類を飛行機で持って帰ると割れてしまうことが多いのだがこの器なら安心して持って帰ることができる。
この2種類の器を買って日本へ持ち帰ったが割れることなく持ち帰れた。
 
 
 
 

この器はウズベクで緑茶を飲むために使うものだ。
 
 
他にもきれいな陶器がたくさんある。
 
 
 
 
 
 
モスクワに行く機会があれば、ぜひお土産の市場の陶器屋さんを覗いてみてください。お店の人もとても親切でいいお店です。
 
 
HAPPY POTTERY