ロシアの大家はおそロシア -ロシアでアパートを借りるには

ロシアでアパートを借りるのは、実はそんなに難しくない。

日本のように保証人は要らないし、外国人だからと言って特別何か制約があるということもない。

借りること自体はビザと滞在登録がきちんとしていれば、基本的にはそれほど難しくはないだろう。

「借りること自体」は・・・。

01


記者:とらまるはなばち




現在モスクワ在住の筆者、この4年半の間に色々あってもう4回も引っ越している。

そのため、ロシアでの引越しについてはたいていのことは心得ている。

なぜ4回も引っ越したのかは後でお話しするが、まずはロシアでどうやってアパートを借りるのかを紹介しよう。

借り方を大きく分けると、


1. 不動産業者経由

2. 大家と個人契約 


この2つがある。

企業 の駐在員などは 会社によっては会社から大家に直接銀行送金で支払いをしているところもある。

しかし筆者の場合は会社から直接払ってもらえるような身分ではないので、こちらは残念ながら割愛する。




不動産業者経由 


不動産業者に電話をすると担当のエージェントを紹介される。

エージェントに家賃、立地、間取りその他の希望を伝えると、希望に近い物件を探してくれる。

物件がたくさん出ている時期は即日または翌日には物件を紹介してくれるが、そうでない時期だと数日かかることもある。

エージェントが大家さんと借り手の都合を聞いてアポを取ってくれるので、エージェントと一緒に実際にアパートまで出向く。

実際に部屋を見て気に入った部屋があれば即契約してもいいし、手付金を大家さんに払ってその後 数日考えてもよい(猶予はだいたい3日ぐらい。手付金の金額は月3万ルーブル前後のアパートだと、5000ルーブルが相場)。

この手付け金、猶予期間内にアパートを借りると決めれば最初の月の家賃は、

(一ヶ月の家賃の金額)-(手付金の金額)を払う。

逆に大家が他の人に貸してしまう場合は、この手付金は全額返してもらえるという仕組みだ。

アパートを決める時に難しいのはできるだけ即決しなくてはならないということ。

現在ロシアのアパート事情は売り手市場・貸し手市場のためせっかく気に入った物件があっても、もたもたしていると他の人に取られてしまう。

しかし、あまり慌てて決めても筆者のようにとんでもない大家に当たったりその他の欠陥が明るみにでてくることもある 。

気になる物件があったらとりあえず手付金を払い、同時に他の物件も見つつ、猶予期間ぎりぎりまで検討するのが良いだろう。

また、不動産業者にアパート探しを依頼する場合、アパートの契約が完了するまで手数料は発生しない。

長い間探してくれても見つからなかったらそれはそれでよいのだ。

なので、そのへんは心配する必要はない。

契約が決まったら、大家に最初の月の家賃+デポジット(たいてい一ヶ月分の家賃と同額)を払い、エージェントには手数料として一ヶ月分の家賃と同額の金額を払う。





大家と個人契約


不動産業者を介さず大家と直接コンタクトを取って契約することも可能だ。

友人・知人経由で物件を見つけた場合や、インターネットで大家が借り手募集の告知をして いる場合がこれに当たるだろう。

この場合、契約書なしで借りられる場合もあるが、筆者としては契約書をきちんと作成することをお勧めする。

何かあった時にトラブルを回避することができるからだ。

契約書作成を大家が拒むようなら、他の物件を探したほうが良いかもしれない。

個人契約で契約書を作成する場合、知人・友人のアパート契約書の内容を参考にして自分で作成するか、大家が契約書のフォーマットを持っていればそれを使っても良いだろう。

②の方法はハードルが高いので、どうしても業者を通したくない場合は、一人で進めるのではなく、信頼できるロシア人またはロシアに長年住んでいてアパートの契約に精通しているベテランの人に手伝ってもらうことをお勧めする。



さて、なぜ筆者がこの4年半という短い間に4回も引越しをする羽目になったのか。

理由は次の通り。


1軒目:

不動産業者経由で契約。2年間住み、筆者の転職に伴い退去した。


2軒目:

友人経由で紹介された物件で、半年ほど住んだ。

しかし大家が経済的事情によりアパートを売却したいと言い出したため、仕方なく引越し。

大家は大変人柄が良かった。


3軒目:

これも知人経由で見つけた物件。

しかし傍若無人な大家夫妻の振舞いにより生活が脅かされたため、わずか1ヵ月半で退去。

契約書は無かったが、それが逆に功を奏し違約金等も取られずスムーズに退去することができた。


4軒目:

不動産業者経由で見つけた物件。

前のアパートから緊急脱出する必要があったため慌てて契約を結んだ。

しかしアリの 大群やゴキブリが出現。

またもやとんでもない大家により生活が脅かされたため、1年半我慢したがついに退去。

業者のエージェントもあまり良い感じではなかった。


5軒目:

現在住んでいるアパー ト。別の業者を介して契約。

職場からは遠くなってしまったが、地下鉄駅から近く、部屋もきれい。

そして何と言っても大家夫妻がかなり良い人なので、やっと落ち着いた生活を送ることができている。



これを見てわかるように、筆者は過去2回も大家とのトラブルのため引っ越している。

筆者の友人・知人にも、大家が原因で転居した人が多数いる。

この事からもわかるように、この国で暮らすためには大家の人となりというのは最重要事項と言っても過言ではない。

またロシアでは、家賃は毎月現金で支払う場合が多く、最低でも月に一度は大家と顔を合わせることとなるため、大家の人柄はなおさら重要となってくる。

しかし、良い大家に当たれば何かあった時は親身になって助けてくれるし、フットワーク の軽い人であれば、ちょっとした物が壊れただけなら自分で直してくれることもあるのだ。



Sponsord Link




このように、ロシアでアパートを「借りること自体」は、それほど難しいことではない。

しかし、大家がどういう人物であるかが大変重要で、この見極めを間違えるとその後大変なこととなるため、このことは難しい問題であると言えるだろう。

アパートの見学、大家との面会へは客観的な意見を聞くため、可能であればロシア人やロシアに住み慣れている信頼できる人に同行をお願いすることをお勧めする。

これからロシアでアパートを借りる予定のある方のために、筆者が思う注意事項、おススメ不動産業者、便利サイトをまとめてみたので参考にしてほしい。

~注意事項~


1.大家の人柄
2.周辺地域の治安
   ・モスクワ市の場合、南東方面は特に治安が悪いと言われている。
   ・夜に周辺が暗くなりすぎないか、浮浪者や酔っ払い・不審者が多く徘徊していないか等。
3.アパートのセキュリティー
   ・部屋は2階以上であること、二重ドアであること、ドアにのぞき穴があること。
   ・管理人、警備員付きのアパートはさらに防犯面では良い。

    ただし、客人を呼んだだけでうるさく言ったり、住人の生活を詮索しようとする人もいるようなので、

    必ずしも良いとは言えないかもしれない。
4.その他
   ・公共交通機関、特に地下鉄の駅が近いと便利。

     特に冬は寒く、足元が大変悪くなるので、徒歩移動の時間はできるだけ短いほうが便利。
   ・ロシアでは近くの店へ行くのにも 歩く距離が日本に比べて長いため、

     スーパーなどの店ができるだけ近くにあるところが良い。



~不動産業者~


筆者のおススメ業者一覧


1Миэль
  比較的安価な物件から高級物件まで、豊富なデータベースを所有。

  筆者がお世話になったエージェントは仕事も速く丁寧で、親身になって物件を探してくれ、

  希望にあった物件を契約することができた。

2Intermark Savills
  会社のデータベースに無い物件も、手数料が少し上がるが、エージェントに頼めば探してくれる。

  筆者がお世話になったエージェントは、仕事が丁寧で大変印象が良かった。

3Penny Lane
  英語など外国語のできるエージェント多数。外国人クライアントも多数利用している。

  仕事も早く丁寧。比較的高額な物件を多く取り扱っている。

4Blackwood
  同じく、外国語のできるエージェント多数、外国人クライアントも多数。

  比較的高額な物件を多く取り扱う。



~不動産検索サイト~


“Циан”
 不動産業者も利用しているサイトで、かなり豊富なデータベース。