ロシア人が作るロシア人のための現代日本を紹介する雑誌、『KIMONO』を君は知っているか!?

皆さん知っているでしょうか?いや、知らないでしょうね。ロシアで現代の日本を紹介する『KIMONO』という名の雑誌が販売されていることを。
日本でもなかなか見られない1つの国にテーマを絞った雑誌。そんな珍しい雑誌が日本をテーマにロシアで隔月で販売されています。
モスクワ在住の創設者で編集長であるステパノワ・エカテリーナさんにはメールでインタビューをし、4月に行われた、「第六回ソ連ナイト ~日本で頑張るロシアメディア大集合~」にゲスト出演してくれたナスチャこと、『KIMONO』副編集長を務めるアナスタシヤ・ストレブコヴァさんに直接話を聞いてきました。
 
 
 
 

『KIMONO』はどんな雑誌?

 
現在は紙媒体の雑誌としてロシアで隔月発行のされていますが、最初はオンラインマガジンから始まりました。2016年10月にオンラインマガジンとしてスタートし、2018年よりオンラインマガジンと並行して紙媒体の雑誌も発行されるようになり、現在もこの体制で続けられています。
 
『KIMONO』の創設者で編集長のステパノワ・エカテリーナさん
Photo: Dmitriy Menshov
 
編集部のスタッフは10名、その他にフリーランスライターやカメラマンなど約30名が雑誌の制作に携わっている。メンバーは日本とロシアに住むロシア人たちがほとんどだが、世界各地にスタッフが散らばっており、日本人もいる。
 
副編集長のアナスタシヤ・ストレブコヴァさん
Photo: Evgenia Chiba
 
ターゲットは25~45歳位までの女性。
旅行好きな人、自分の知識を増やしたい人や、もちろん日本に興味のある人たちが読者層。
基本的に女性向けの特集ばかりの雑誌だが、読者の1/3が男性であることが面白いとストレブコヴァさんは語る。
男性読者は、アートや観光、フード関連のコーナを目当てに雑誌を手にしてくれているようだ。
2ヶ月に1回、1号に付き3000部ほど発行されている。
 
 
雑誌の内容は次の6つのコーナーから成り立っている。
 
#DISPLAY
日露に関する人々へのインタビューから構成される。
日本を訪れた著名なロシア人や、ロシアを訪れた日本人へのインタビューなど。
 
 
#ART
建築、デザイン、写真、演劇、ダンス、音楽など伝統芸能から最新トレンドまで日本のアート関連の記事。
 
 
#FASHION
世界中のファッション通に注目されている日本初のファッションを取り上げる。
日本のハイブランド、デザイナー、ファッションショーなどのイベントを紹介。また、日本在住のロシア人写真家やモデルが参加する、有名ブランド・ファッションの撮影会を開催したりも。
 
 
#BEAUTY
世界中で最高の評価を得ている日本の美用品の紹介。
『KIMONO』のライターが自ら化粧品を使い、その感想を読者に伝え、新ブランドや既存人気ブランドを紹介。
 
 
#TRAVEL
旅行や観光は現代日本の重要な一部分ということを踏まえ、ライターの体験、観光客の感想に基づき、日本の素敵な観光スポット、都道府県やエリアを紹介する。
 
 
#FOOD
芸術である高級和食、家庭料理、旬の食べ物などを紹介する。
レシピやレストランを取り上げ、シェフのインタビューも掲載。
 
 
現在、『KIMONO』を買うことができるのはモスクワ、サンクトペテルブルク、ウラジオストクなどの一部の書店。日本では原宿にあるロシアファッションを取り扱うお店、Bunker Tokyoにて販売中。
その他、モスクワの日本食レストランや、ロシア各地の日本センターにて観覧することができる。
さらに、オンラインショップから注文すればロシア全土へ発送してくれる。
 
 
ここからはモスクワ在住の、『KIMONO』の創設者であり、編集長のステパノワ・エカテリーナさんへのメールでのインタビューを紹介します。
 
 
どのようにして『KIMONO』が誕生したのか
 
2015年、『KIMONO』を作ることになるステパノワ・エカテリーナさんは日本で暮らしながら、モスクワの大学の記者学部の通信講座を受けたり、様々なマスコミで実習を積み重ねていた。
そのとき、日本についてロシア語でいろいろ読みたかったが、彼女が欲しがっていた質のいい情報が豊富に掲載されているメディアはなかなか見つからなかった。
そのような背景の中、ある日突然、「自分で雑誌をつくろう」と思い立った。時間もあった。やる気もあった。しかし経験だけが足りなかった。
約1年をかけて、ライターと編集部のメンバーを集め、雑誌のスタイル、デザインなどを考えたり、ターゲットである読者のイメージを決めたりするなどの準備を進めていった。立ち上げ当初から参加していたメンバーで、今も『KIMONO』で活動を続けている人が多い。現在、モスクワと東京でチームが雑誌のために心血を注いでくれている。「私にとってこのチームのメンバーたちは大事で自慢だ。」と編集長は語る。
 
よく聞かれるのが雑誌の名前について。
ロシア人にとって、「KIMONO」と聞いてイメージするのは日本の伝統的な服ということだけ。しかし、「KIMONO」は浴衣、冬用の着物、カジュアルな着物、フォーマルな着物、伝統的な着物や現代的な着物など、様々な種類が存在する。なので、『KIMONO』という雑誌名は、様々な方面から日本を紹介し、ステレオタイプから外れるという雑誌のコンセプトのベースとなった。また、「KIMONO」という言葉はロシア人にとって書くのも、言うのも簡単でキャッチーな言葉。これも大事なこと。
 
 
 
編集長がおすすめする記事ベスト3
 
『KIMONO』の記事や構成には様々な人が努力しているし、時間もかかるのでどの記事がベストなのか選択することが難しい。しかし、正直に言うと各号には個人的に好きな記事がある。その記事たちを皆さんに紹介します。
 
ビジネステーマを特集する最新号には、アルカディー・ノヴィコフというロシアレストラン界の頂点に立つ大物レストラン経営者と、日露の食分野コーディネーターである中川亜紀さんによる対談が掲載されている。「日本とロシアのレストランビジネスの違いについて」というテーマでの対談。感情的で活気のあるすばらしい話を聞くことができた。読者もこのような内容が大好きだ。
 
 
建築をテーマにした前号に掲載されている、デザイナーの三宅一生さんの活動とデザイン世界の影響に関する記事がお気に入り。新宿の高層ビルを背景に撮影された、三宅一生さんの服を着たモデルの写真が雑誌のテーマの象徴としてとても良いアイコンになったと思う。
 
 
日本映画をテーマにした号では、モスクワで開催された日本映画フェスティバルの協力を得ることができた。そのおかげで、黒沢清、李相日とスティーブン・ノムラ・シブルという三人の映画監督にインタビューできたのがうれしい。
 
 
以上、3つのおすすめ記事を紹介したが、「雑誌を最初から最後まで読むことが一番のおすすめ。そうすると各号のテーマをもっと良く、より深く理解できると思う。」と編集長。
 
 
 
読者から一番人気のあった記事は?
 
在ロシアの日本人へのインタビューが一番人気。読者たちは外国人がロシアについてどのように思っているかを知りたがる。
また、日本のファッションと化粧品ブランドの紹介記事も人気。雑誌の記事から色々なブランドを初めて知ったという読者も多い。
そして、観光欄はやはり人気がある。ガイドブック代わりに『KIMONO』を日本旅行へ持っていく読者が数多くいる。
 
 
今後の『KIMONO』の展望
 
雑誌だけでなくロシアと日本間の様々なプロジェクトに力を尽くしている。特に、ロシアで日本の現代アートとファッションを通俗化することに興味を持っている。この分野はロシアでとても需要が高いと思われるからだ。
モスクワで雑誌だけではなく、日本アート、ファッション、和食などを紹介する日本に関する文化センターをできる限り、早めにオープンさせるという夢がある。
私達のこのプロジェクトは若者が対象。20年後、彼らは未来の経営者となっているからだ。そのような彼らが2カ国の文化を得られるようにする教育が大事だと考える。
 
 
 

『KIMONO』No.12のコレクターズ・エディションを作りたい

そして現在、『KIMONO』はクラウドファンディングで資金を集めています。
人気のあった12号を重版するための資金集めです。
Коллекционное издание журнала KIMONO №12
 
ただ重版するだけではなく、一部のデザインの変更や記事の差し替えを検討しています。
ロシア語のページなので日本から支援するには少しハードルが高いのですが、もし『KIMONO』に興味を持ってくれて、支援したいという方がいれればとてもありがたいです。
7月23日までに290000ルーブルが必要です。締め切りが延びる場合もあります。
成功すればリターンが送られてきますが、失敗の場合は全額返金となります。

 

追記:終了しています

 
リターンがいろいろあるのですが、日本から参加しやすいものをピックアップしてみました。
 
まず、ロシア語がわからない方がほとんどだと思います。ページ右上のアイコンをEnglishに変更してください。
 
100ルーブル(約160円)のリターン
 
ただサポートするだけです。バックは何もありません。
 
 
700ルーブル(約1120円)のリターン
 
 
おそらく日本から支援できるのはこれがメインになると思います。『KIMONO』12号のコレクターズ・エディションが送られてきます。日本からなかなか手に入れることができない、『KIMONO』を購入できるチャンスです。もちろん送料込みの値段となります。
 
ちなみに、この下に500ルーブルで同じく雑誌が購入できるリターンがあるのですが、これは自分でモスクワの事務所へ受取に行くリターンです。交通費がバカにならないので、日本からはこの700ルーブルのものを選びましょう。
 
 
600ルーブル(約960円)のリターン
 
『KIMONO』のライター1人からメッセージ付きのカードが送られてきます。
日本からの支援者にはロシアのカードが送られる予定です。
 
 
1000ルーブル(約1600円)のリターン
 
『KIMONO』12号の雑誌本体と各種SNSに支援者として名前が載ります。
 
 
 
2590ルーブル(約4144円)のリターン
 
ロシアで人気のあるデザイナー、НИКИТА ГРУЗОВИКと『KIMONO』がコラボした素敵なバッグがもらえます。
 
 
支援の仕方
 
700ルーブルのリターンを選ぶこととします。
 
PROCEEDをクリック。もし2冊以上欲しい場合は+で増やしてください。
 
 
名前のところは電話も入れろって書いてますが、名前だけでいいと思います。
 
 
ここはまあ、説明はいらないでしょう。Cityだと市を書くべきなんだろうけど、県を入れる場所がなかったので県でいいでしょう。市以下はAddressへ。電話番号は一応日本の国番号から+81を頭に入れて、最初の0を取ってください。090なら+8190です。
 
 
支払方法の選択は日本からならクレジットカードになると思います。
そして、左下の個人情報の取扱に同意して、PURCHASEをクリック。
 
 
カードの情報入力画面になりますので入力してください。
入力が完了したらОПЛАТИТЬ 700 РУб(700ルーブルを支払う)をクリックして完了です。
 
 
その他、普段よりもかなり安い価格で12号コレクターズ・エディションに広告を掲載することができるプランが4種類あったりもします!
ロシアに進出している、予定のある企業さん、どうでしょうか?
もし興味はあるがロシア語なので詳細がわからない場合は、おそロシ庵まで連絡をください!お手伝いします!
 
また、このクラウドファンディングだけではなく、『KIMONO』は常時スポンサーを募集中だそうです。
日本からのスポンサーをなかなか集めることができていないらしいので、もし興味のある企業の中の人がこれを見ていましたら、ご連絡ください!
おそロシ庵へ連絡をいただければ『KIMONO』へ繋ぎます!
 
 
 
 
 
 

追記

クラウドファンディングは残念ながら失敗。
支援したリターンは返金されます。
どうやってやるの?とわからない方にここで説明します。

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