モスクワにある日本(風)料理屋で怪しいСУШИ(スシ)を食べてきた

現在モスクワには星の数ほど日本(風)料理と銘打った料理を出すレストランが存在します。
街中いたるところでСУШИ(スシ)の文字を見ることができます。
もはやブームを通り越して一つのジャンルとして確立してしまった感が。

日本(風)料理屋はもちろんのこと、日本(風)料理とは関係ないカフェでもСУШИ(スシ)が提供される始末。
というのも、”СУШИ(スシ)”を出さないレストランやカフェは怠けてると見られるとか。
МУМУ(ムームー)というロシア料理の有名なチェーン店があるのですが、最近その店でもСУШИ(スシ)を出し始めたとHPのメニュー欄に書かれており驚きました。

さて、そんな星の数ほどあるモスクワの日本(風)料理屋ですが、先程から「日本(風)料理屋」だの、「СУШИ(スシ)」とわざわざ書いているように、本物ではありません。
あれを「日本料理」だの「寿司」だのと呼ぶのは個人的に「本物」に対して失礼だと思います。もちろんロシアにも本当の日本人、職人の方が作っている日本料理屋があります。

が、今回はモスクワで一番まずそうなСУШИ(スシ)を食ってやろうじゃないかとお腹壊す覚悟で行って来ました。

せっかくモスクワに滞在中なので体を張っておこうと思った次第です。
美味しい日本料理屋は「歩き方」に任せればいいのです。

今回の参加者は、おそロシ庵の中の人を含め三人。
中の人、ロシア在住日本人、ロシア人。
まずは三人で情報収集。

1店はすぐに決まりました。

※画像クリックでHPに飛びます。

「金」と書いて「ТАНУКИ(タヌキ)」と読むこの日本(風)レストラン。
名前からして怪しい雰囲気がぷんぷん漂ってきます。
モスクワ在住日本人の間でまずいまずいと大評判のお店らしいです。かなり期待出来ます。
そして次にとんでもないものを見つけました。

※画像クリックでHPに飛びます。

「ВАБИ САБИ(ワビ サビ)」と言う日本(風)カフェ。
この店のHPのメニューに今まで見たことがないものが!

ロシアにはホットロールと呼ばれる巻きずしがあります。その名の通り暖かい巻きずし。
巻きずしを天ぷら風にカラッと揚げたホットな一品。
脂っこいので一つで満腹、数個食べたら胃もたれ確実。

※以前モスクワで食べたホットロール

しかし、このワビサビのホットロールはひと味違います。

なぜかホットロールの上にネタが乗せられ、一品でニギリとホットロールを楽しめるお得な
СУШИ(スシ)。
ЭБИ ХОТТО(エビホット)、СЯКЭ КУНСЭЙ ХОТТО(シャケクンセイホット)、МАГУРО ХОТТО(マグロホット)。

これも期待できそうです。

お店も決まりましたのでさっそく出発します。

まずは「ВАБИ САБИ(ワビ サビ)」から。

店内はいたって普通の綺麗なレストラン。お客さんも結構入っています。
店員さんは日本(風)料理屋によくいるアジア系の人々。シベリアの方から来たか、中央アジアの方々でしょうか。
接客は普通に丁寧。というか他のロシア人よりも笑顔が多い印象。私的には好感触。

HPでみつけたホットロールを注文。

ЭБИ ХОТТО(エビホット)
МАГУРО ХОТТО(マグロホット)

って、前言撤回。マグロ落ちてるんですけど?ウェイターが悪いのか、作った人が悪いのか…
まあ、それは置いといて実食に移ります。

一口でパクッと…

まず広がるホットロールの暖かさとネタの冷たさのハーモニー。
一口噛むごとに中のクリームチーズ&スパイシーソースが衣の油と絡みます。
そしてネタの水気が…

温度差のある物ってこんなに食べ合わせが悪かったんですね。
エビはマグロほど冷たくないのでまだマシかな。でももう食べたくはありません。

何か口直しにデザートでもと思いメニューを見たらありました。とっておきのデザートが。

СЛАДКИЙ РОЛЛ(スイートロール)

軽く潰したご飯で新鮮なフルーツ(イチゴ、キウィ、バナナ)をロール。ココナッツパウダーをまぶして練乳とストロベリーソースがかかっております。

口に入れるとネッチョリとしたご飯にココナッツの匂いが広がります。
そして一口噛むごとにイチゴとキウィの果汁があふれ、バナナと練乳の甘みも広がりとってもまずい

ああ、タイでこんなの食べたことがある。きっとココナッツがそう感じさせてくれるのでしょう。
ココナッツ風味の甘いご飯、私はとても苦手です。でも頑張って完食。ごちそうさまでした。

一軒目で胃袋と頭が疲れて来ましたが次のお店を目指します。
腹ごなしも兼ねて30分ほど歩いて次の店へ。

当日のモスクワは気温3度くらい。春はすぐそこかも。

しばらく歩くと赤い看板、「金」の文字が見えて来ました。
「ТАНУКИ(タヌキ)」に到着です。

怪しい服を着たドアマンがドアを開けてくれます。
こんな寒い中毎日ドアの前で変な格好させられて…、お疲れ様です。

開けてもらった入口のドア、一歩入ると何故か目の前に銅鑼。
おっさんが構えてます。全員入口に入り、ドアが閉まると…

「グワ~~~~ン」

鳴らされてしまいました、銅鑼。
これは予想外。意外と楽しい。ワクワクしてきた。

店内は結構広い。お客さんもたくさん。ほぼ満席。

内装は怪しいですが日本をイメージしている感じです。

壁には水墨画らしきものと中国語だか漢詩のようなものが書かれています。
おや?隅の方に謎の日本語を発見!

「勝てば官軍」
「夢は逆夢だ」

なぜこの言葉を選んだのでしょうか?わけがわかりません。
漢詩の方も適当な言葉が書かれているのかもしれません。
さて、ひと通り笑った所で席につくと、

各席にはこのようにお箸などが置かれています。
右上の石はおそらく箸置きだと思うんですが、普通にそこら辺に落ちてそうな石。使う気になれない。

お醤油もおいてあります。タヌキオリジナルのお醤油。
ちなみに味は酸味がきいてました。醤油じゃないのかも。

メニューを選んでると、にゅるっと長細いものが目の前に伸びて来ました。

お茶のサービスです。
やたら長い注ぎ口、そしてやたら遠いところから注いでくれます。
注いでるお兄さんもジャッキーチェンの適役みたいな雰囲気。謎です。
しかも普通のお茶ではなく、ハーブとベリーを混ぜた感じの甘酸っぱいお茶。
美味しくなかった。

そんなお茶のサービスを楽しみつつ注文。
まずはこちらの一品

БИФУ ЯКИ СОБА(ビーフヤキソバ)

この焼きそば、麺が「蕎麦」。
ロシアの日本(風)レストランでよく見ることができます。

まず一口。水っぽい…
麺の湯切りが足りないのだろうか。とにかく水っぽい。
そして、炒めるときに大量の油を使ったのでしょう。すごい脂っこい。水っぽくて脂っこい。新しい。

味の方は野菜炒めみたいな感じ。ソースの味はしない。
そして麺も蕎麦っぽさを出していない。つまり麺の味が全然しない。
脂っこさと水っぽい事を除けば普通に食べれる味。でも美味しいわけではないです。

さて、続いてはこちら。

ЭБИ ИТИГО(エビイチゴ)

その名の通りエビとイチゴのホットロールです。
誰がこんな組み合わせ考えたのでしょうか?バカか天才のどちらかでしょう。多分前者。

中身はエビ、いちご、アボカド、バジル。
確かにまずいけど、まずいけれども普通に食べれた。
イチゴが意外と少量だったのがせめてもの救いだった。

そして最後の一品が強烈すぎたのです。
こちらがその最後の一品。

УНАГИ ДИРУ(ウナギディル)

ウナギとディルのロール。
ディルは香草の一種で強い独特の香りがあります。
ロシア料理には結構欠かせない存在で、いろいろな料理にアクセントとして使います。

しかし、個人的にこのディルがご飯にあうとは思えません。
中身はスモークサーモン(BBQ風味)、うなぎ、きゅうり、ご飯の外側にディルがまぶしてあります。
これ、本当に気持ち悪くなった。
もう予想通り。ディルとご飯があわない、あわない。
そして中に巻き込まれてる海苔。これがさらに風味を台無しにさせる。
もう絶対に食べたくない。

でも頑張って完食しました。まずくても食べ物。粗末にしたら罰が当たる。

ごちそうさまでした。

ちなみに今回一番美味しかったのはガリ。
ガリにはお世話になりました。

今回こうやってゲテモノСУШИ(スシ)を食べてきたんですが、各店舗にはこんなにも不味いのにお客さんがそれなりに入ってるという事実があります。
今回訪れたワビサビもタヌキもモスクワに何店舗もあるチェーン店です。
まあ、他のロシア人のお客さんたちは普通の握りやカリフォルニアロールやらフィラデルフィアロールやら、ネタの良し悪しは別にして普通に食べれるものを注文していました。

つまり、今回注文したものは「ロシア人の口にも合わない」ということです。

ちなみに今回食べた総額。

ЭБИ ХОТТО(エビホット) 150ルーブル(約450円)
МАГУРО ХОТТО(マグロホット) 170ルーブル(約510円)
СЛАДКИЙ РОЛЛ(スイートロール) 225ルーブル(約675円)
БИФУ ЯКИ СОБА(ビーフヤキソバ) 230ルーブル(約690円)
ЭБИ ИТИГО(エビイチゴ) 240ルーブル(約720円)
УНАГИ ДИРУ(ウナギディル) 230ルーブル(約690円)

合計1245ルーブル(約3735円)

あの味でこの値段か…、高い。
そしてお腹も今のところ大丈夫。